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メタボ先輩温泉奇行

〜番外篇 メタボ3分クッキング〜

 

〇月〇日

腹を空かせたメタボ先生がむにゃむにゃと寝言を口にしている。

私も暇に任せてこれを筆記した記憶がある。 だがどこに放置していたのかそれは消失してしまった。

ところが数か月の月日を経てそれは再び私の目には飛び込んだ。

 

ゴミを分別していた時のことである。一枚の切れが出てきた。それには何かの紙魚がついていて見るからに

食べ物の腐臭めいたものが漂ってきそうで汚らわしい。 即座にゴミ箱に捨てようと思っていたところ

そこに何か走り書きのようなものが記されているのに気付いた。 そしてそれは明らかに私の筆跡である。

すぐにメタボ先生の寝言を口述筆記していた事を思い出した。 テーブルの上に放置していたのが間違いだった。

その上に先生は涎を垂らしそれがゴミと混在してしまっていたのだろう。

 

書かれていた内容が気になったので気持ちの悪さを押し殺して目を通してみたのだ。

それは何やら料理のレシピのようだったので、その夜それを再現してみた。

これが存外に美味であったので読者のみなさんにも御裾分けしてあげようと紹介することにした。

名付けて「メタボ3分間クッキング」

調理時間にはもう少し時間が掛かるかもしれないが、簡単な料理なのでこれを象徴的に3分間クッキングと

名付けた次第である。

 

まず準備するものは、レタス、豚肉、ポン酢とフライパンだけである。

豚肉はスライスしたものであれば何でも構わない。懐具合に合わせて肉のグレードを決めればよい。

 

フライパンの上にレタスの葉っぱを千切って敷き詰める。 この上に豚肉をならべて、あとは鍋蓋を被せ

火にかけるだけである。 調理時間が3分なのか、5分なのか、10分なのか、それはあなたの判断に委ねられる。

レタスから出た水分で豚肉が十分に蒸し上げられていてレタスの葉っぱも撓っていればそれでよい。

 

あとはポン酢につけて食べるだけ。 もみじおろしや大根おろしを入れてもよいし、万能ねぎや浅葱を刻んだ

ものを入れて食べるのも食欲を掻き立ててくれる。 あなたが長ネギを刻んだものを使いたいと主張しても私は文句を言うつもりはない。

 

ただ食べ終わった後はメタボ先生の住まわる方向に向かって、二礼二拍手一礼して「ご馳走様でした」と

唱えるだけでよいのだ。 因みにメタボ先生の住まわる方向は適当に決めてくれればよいのだが、どうしても

気になるのなら、とりあえずその年の恵方の方角(今年は南南西)に向かって合掌!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メタボ先生温泉紀行 第四話 那須板室温泉

〇月〇日

今日は朝からメタボ先生機嫌がよい。昼から板室温泉に出かけることになっているのだがその途中黒磯で

弁当屋に立ち寄ろうかと提案したからだ。よほど嬉しいのであろう。鼻の穴を大きく広げてそこから蒸気機関車

のように白い湯気を立ち上らせている。

それは久しぶりに目にする光景のように思われた。10年ほど前に妻の父を連れて寸又峡温泉というところに

出かけたことがある。大井川の上流に位置する温泉にいくために川に沿った道路に車を走らせた。

およそこの道路に対抗でもするかのように軌道が敷かれた鉄道がある。

私は何の知識も持たずに此処で車を転がしていた。道路は落ち着き無く川の左右に移動しながら疾走する。

川を越えちょっとした集落に入った。この中に小さな橋のようなものがあった。

そこを越えようとしたときに下からもの凄い量の蒸気が立ち上がって来たのだ。

メタボ先生の鼻息の中に包み込まれてしまったかのようだった。私には一瞬何が起きたのか解らなかった。

不意の事故やテロに遭遇したような気分である。

これが蒸気機関車から吐き出されたものだと理解するのには数秒の時間を有した。

それが高速道路上のことであれば確実に死亡事故につながっていたことだろう。

ほんの数秒であっても車の運転中に判断が出来ない時間が存在するのは命取りになりかねない。

幸い徐行運転中のことだったので危うくも難を逃れることが出来たのである。

大井川鉄道が日に数本のSLを走らせているのを知ったのはその後のことであった。

私が渡った橋は停車場の上に掛けられていて「シュポー」っという大きな音と共に蒸気抜きをしている瞬間に

運悪くその上を通り抜けてしまったのである。

弁当一個のことでこんな貴重な体験が出来るとは思わなかったが、とんだありがた迷惑だったのは言うまでもない。「焼き魚が食いたい。焼き魚が食いたい」あまりにもしつこく繰り返すものだから私の頭の中では未だに亡霊のように夜な夜なこの言葉が響いていて不気味である。

「わかった。いい加減にしてくれ。アンタは鱈腹くって牛にでも象にでも、いや鯨にでも何にでもなってくれ」

私は狂わんばかりに大声を上げていた。ダイエットを提案した私が愚かだったのだ。

もうこれ以上メタボ先生のために命を削るのは止めにした。約束通り弁当屋に立ち寄り弁当を買った。

焼き鮭しかなかったのが不満なようだったがこれを食った後少し静かになってくれたのが

私には何ともありがたかった。

黒磯から山の中に30分ほど車を走らせたところに板室温泉はある。

鄙びた小さな、温泉街とはいえないほどの集落である。ここに公共の温泉施設がある。

おそらく竹下内閣のときの故郷創生資金か何かで作られたものではないだろうか。

那須塩原市民でなくても500円で利用できるのは有り難い。

ただメタボ先生が浸かった後にお湯の大半が流れ出てしまうのではないかと考えると不安であるが

他人のふりをしておけば大丈夫ではないだろうかとそんなことを考えながら入場料を払った。

川の側に建てられたグリーン・グリーンという名のこの施設には余り大きくない浴室内に大きめの浴槽と

小さなサウナが備え付けられいてその泉質は無味無臭で余り効能も期待できそうにないのだが

「杖いらずの湯」と言われ地元民の鼻息も荒いのだ。

何でも杖をついて此処を訪れた湯治客が杖を置いて帰るという何処かで聞いたような効能話もあるのである。

ちなみに数年前に妻と一緒に此処を訪れたとき女湯のカランでは老婆が備え付けのオレンジ色の石鹸で

持ち込んだズロースを洗濯していたそうで以来妻は此処に寄りつきたがらない。

もう少し説明をしたいのだがメタボ先生が湯船からこぼしたお湯のことで大騒ぎになる前にそそくさと立ち去る

ことにした。因みに此処に流れる川の名前は湯川と言いどうやら那珂川の支流の一つのようである。

ネットで川の名前を調べようと悪戦苦闘したがなかなか名前が見つからなかった。

それほどの川であるからきっと大したことは無い。

帰りにメタボ先生が「ポテトサラダが食いたい。ロースハムが食いたい」と騒ぎだしたので

「勝手にしろ」と言い返してやった。その後彼が嬉しそうにポテトサラダとロースハムの入ったレジ袋を持って

車に戻ってくるのを見て私は大きくため息をついたのだった。

メタボ先輩温泉紀行 第三話 那須芦野温泉                   ポイントゲットしたら先生に昇格しちゃったの巻

〇月〇日

 翌日もメタボ先輩は眠れる森の美女ならぬメタボを演じていたので私は心を鬼にして一喝した。

「あんた、朝目覚めて床を出たと思ったら直ぐにホットカーペットの上で微睡むとは一体どういう了見なんでぇ。

働かざるもの食うべからずだ。庭の落ち葉掃きでもしたらどうだ」

先輩は「もぉ」という返事をして、いや牛のように「モー」と鳴いただけかも知れないのだが重い腰をあげて

庭掃除を始めた。一馬力ならぬ一牛力の強力メタボパワーを以てしたれば庭掃除など一瞬にして

終えることが出来る。

かつての中国は眠れる獅子と呼ばれ恐れられていたが日本に完膚無きまでに打ちのめされてしまった。

ところがどうだ眠れる牛の方は予想に反しなかなかの働き者である。

それにこの様な田舎仕事というか野良仕事には天性の才があるようである。

かき集められた膨大な落ち葉を燃やした時のことである。手際よく棒切れで落ち葉の山をかき回し

空気を含ませながら燃え残りがないように見事に枯れ葉を燃やし尽くした。

この時焚き火の中に薩摩芋を入れておいたのだが焦げすぎることもなくまた焼き足らぬこともなく

絶妙の仕上がりである。

「芋は火の奥に入れずに手前の方で蒸すように焼くのが肝心である」とはこの人の言である。

もしかしたら彼はある種の天才なのかもしれないと思った。

かくして特別にボーナスポイントをゲットしてメタボ先輩はパワーアップしてメタボ先生へと昇格したのである。

芋を食べてホクホクしたところで部屋に戻ったのだが、またすぐにホットカーペットの上でゴロリと横たわり

いつの間にか牛に変身してしまっている。やがて「モー・モー」と牛の唸り声の様な鼾をかき出してしまった。

この不思議な生き物を見て私は昨夜の奇妙なメールの差出人のことを思い出した。

「チュウ」とは一体何者であろうか。暫く考え続けたのだがどうにもこうにも思い当たらない。

そしてそのヘンテコな生き物は私が那須に来ていることを知っているのである。

本当にこの時私は訳が分からず発狂寸前の状態であったのだ。

 

私の苦悩を傍目にするようにメタボ先輩は大きな鼾をかきながら寝ている。

「モー、モー」 

「もしかしたら「チュウ」というのは「モーモー」の仲間なのかもしれない」

日が暮れる頃になって漸く「チュウ」と「モー」は同輩ではないのかと閃いたのである。

若い頃我々三人(正確には一人と二匹だが)は新潟にスキーに出かけたことがある。

夜民宿の居間にいると全く見知らぬグループの一人から「おい、ネズミ男」と声を掛けられた人があった。

この人こそお湯の学校の校長兼編集長兼管理人兼小遣いのジョージチューカスならぬジョージユーカス氏

であった。こんなことを思い出していた時のことである。私にえも言われぬ気持ちが湧いてきた。

最初は「なーんだ、人間は一人だけか」などと暢気に構えていたのだがやがて自分も妖怪の一味

かもしれないと言う不安が襲いかかったからである。

私は嫌な考えを打ち消すかのように「おい、こらメタボ先生、今から温泉に行くぞ。起きろ」と目の前にいる

牛型妖怪を蹴りながら声を上げていた。助手席で「モー、モー」唸る先生の声は耳障りであったが

私は不安を早く洗い流したく思っていたので相手にせずに車を疾走させた。

 

そしてたどり着いたのが芦野温泉である。

ここは朝日新聞の一面に頻繁に突き出し広告を出しているし東京からハトバスツアーも

催行されているのでご存じの向きも多いと思う。

そして、従業員が演じる国定忠治劇と薬湯が有名である。

午後四時以降は入湯料が630円に値下げされるので日が暮れるのを待ってここに来たのである。

風呂は天然温泉だが無味無臭で一見あまりスーパー銭湯と変わりがないように思われる。

ところがここの薬湯が強烈なのである。一般的な薬湯は毒草丸のような臭いの強い黒いお湯であることが

多いのだが、ここの湯は黄土色に濁っていて少し甘い匂いが漂っている。

浴室の中には大小二つの湯船が用意されていてあまり違いが無さそうである。

大きな湯船に身を浸す。壁には十種類ほどの薬草名が記されている。

やがてじわじわと身体に刺激が伝わってきて全身がヒリヒリと悲鳴を上げ始めた。

まるで唐辛子の液体に浸った気分である。とくに皮膚の薄い陰嚢は大変な被害者である。

一瞬にしてそこは針山になり浴槽から出た時には100本余りの針が刺さっていたのには驚かされた。

それから私は小さい方の湯船に足を運んだ。小さいと言っても一般的な銭湯の湯船よりも大きいかもしれない。

すると湯船の中から老人が声を掛けてきた。

「こっちの薬湯はあまり刺激的な成分は含まれていないからヒリヒリしないよ。

ただし大きな湯船に浸かったあとだとこの湯に入っても身体がヒリヒリするけど

ここだけだと大して刺激はかんじないよ」と親切に説明してくれた。

この温泉に杖をついて来た人が返りには杖を置いて帰ると言われるが、これは一種のショック療法

なのかもしれないと思った。

そして特出すべきはここのミストサウナである。使われている薬草がミント系のせいであろうかガムを噛んでいるようなクールな気分に浸っていられるのである。メタボ先生もすっかりここがお気に召された様子である。

我々は We shall return とは声にしなかったが、また来ようと心に思い此処を後にした。


*主語が人間と物の場合であってもWeでいいのかどうか迷うところである。

メタボ先輩温泉紀行 第二話  那須鹿の湯 

このお話第二話から始まるのは何か変だなと思われるかもしれないが、訳がある。

実は昨日(3/19)思わぬ情報を耳にした。 

全国の風呂好きな諸君は愕然とし呆然とし唖然とし腰を抜かして床に伏し涙したに違いない。

ケロリン桶がこの世から消える?

そんな怪情報がトッポイ譲治から送られてきた。 

とりあえず特徴付けるためにネズミ色にしておいたが、この人はアメリカのミッキーマウス、

イタリアのトッポジージョに対抗しようという魂胆なのかもしれない。

おかしな人もいるもので先日僕が訊ねた時も台所でチーズを齧っていた。

台所の隙間に2~3年前に落っこちてカチンカチンになり、

なんとカビまで生えている(もともとブルーチーズだけど)。

そんなもの食べていたら食チュー毒になりますよとチューしてやった。

その恩返しのつもりだろうか、ケロリン桶に関する情報を寝ずみ考えて知らせてくれたのだろう。

 

そんな怪人から昨年このホームページに投稿するようにとの依頼を受けた。 第一話はそのときこのホームページ上のとある場所に掲載した。 隅から隅まで目を通し探し出して頂きたい。

そしてあまりもの下らなさに第二稿以降の掲載はチュー止になったという事情があった。

このたびケロリン桶の訃報を聞いて没原稿のことを思い出した。

哀悼の意を込めてと言おうか、ドサクサ紛れと言おうか連載を再開することになったのである。

〇月〇日

那須温泉探訪二日目である。日付を伏したがこれが11月であることは明白である。

茶臼岳山頂付近はすっかり冠雪していて何とも寒々しい。

メタボ先輩は朝からホットカーペットの上でごろごろしていてまるで人間焼き芋の様相である。

そして直ぐに微睡んでしまう。こんなところで熟成されては大変迷惑である。

そこでわたしは鹿の湯行きを提案した。彼は温泉銀座というべく群馬の出身で大抵の温泉では鼻でフンと

小馬鹿にした様な態度を取るのである。ならば草津温泉にも匹敵するこの温泉の48度の湯船にどっぷりと

浸かって貰おうと思った次第である。

「湯揉みをしてから入れば避けることも出来ようがさもなければアイシュバイン(ドイツの茹で豚料理)にも

なりかねませんぜ、旦那。、ケッケッケ」

ここのお湯41度から1度刻みで温度が上がり44度からは2度刻みで46度、48度となる。

徐々に温度を上げていけば48度のお湯でも入れないことはない。

体中針に刺されたような苦痛は避けることは出来ないがそれでも人間がハリネズミなどになろう筈もなく

私はしきりにメタボ先輩に先に進むよう促した。

ところがどうだ。まるでこれから大鍋に掛けられる豚の気持ちを悟ってか彼はトンと先に進もうとはしない。

「俺はここで十分」と言わんばかりに43度の浴槽に張り付いてしまった。

俺の中のメフィストは唖然と口を大きく広げ痴呆面のまま凍り付いてしまった。

いやここは温泉、凍り付こう筈はない。ただ呆れ返り乱暴に言葉を投げつけた。

「旦那、せめて46度までは行かないと臆病者と後ろ指さされますぜ」とメフィスト。

「俺、臆病者でもいい」メタボ先輩は守りに入ってしまったようである。力無げに弱々しく言葉を返してきた。

「えーっ、あまりもの情けなさにオイラ言葉を失しそうになりましたぜ」

代わりに俺は46度の湯に浸かった。あまり大したことはない。だが48度は遠慮することにした。

以前ここで俺の陰嚢は一度に百本以上の針を刺されたような苦痛を味わったことがあるからである。

翌朝になっても痛みは消えず手鏡取って玉を観察するに、尚も五本ほどのマチバリが刺さっているのが

観察されたからである。

 

メタボ先輩をこの湯に誘えば夕餉の菜には困らずに済むだろうが、それがメタボ先輩だと知っているので

きっと食欲は失せダイエット効果が期待できたのにと思うと残念な気がしないでもない。

かくして我々は失意のままに鹿の湯を後にして黒磯に向かった。

何もない那須の山から下りてきたものにとってここ黒磯はパラダイスのようなところである。

だがメタボにとってここは大変恐ろしい場所でもあるのだ。

およそ手に入らぬ食材はないほど食い物が溢れ返っていた。

ダイエット食材を買い求めるつもりのスーパで先輩は幼稚園児のごとく大はしゃぎである。

「あれが食べたい。これが食べたい」

「はあーっ」私はあきれかえる以外に為すすべを知らない。

もしかしたらモテない私が女の園に紛れ込んだらメタボ先輩のように東西南北のみならず

天地までも見渡して、でれでれ涎を垂らしながらはしゃいでしまうかもしれないので

あまりメタボ先輩のことを非難することもできないのではと少し反省もした。

心を許したのがいけなかった。余りストレスを溜めては逆効果になってしまう。

そう思いハンバーガーショップに立ち寄った。チキンナゲットとコーヒーを注文した。二百円を払い

レジを立ち去ろうとしたとき

「お客様、クォーターパウンドバーバーとコーヒーですね」という声が私の耳朶に入ってきた。

メタボ先輩巨大なハンバーガーを抱え嬉しそうである。このとき私はこの合宿の失敗を確信した。

メタボ合宿とはメタボ解消のための合宿ではなくてメタボ促進のための合宿だったと悟り

その夜私は悔しさの余り眠ることが出来なかった。

先輩の地震とも思えるほどの鼾にも悩まされ私は不眠症になりかけていた。

思わずスマホを手に取りウエブでも観てみようと思った。そのときメールが届いているのに気づいた。

「鹿の湯のことサイトに書き込んで下さい」とだけ書かれていた。一体誰からのメールだろうか。

誰かが私の行動を察知していて那須にいることを知っているのだ。何とも気味が悪い。

差出人も不明である。ただそこには「チュウ」という鳴き声だけが記されていた。